薄毛に悩んでいる男性の9割以上が実は、男性型脱毛症(AGA)だと言われています。気になる薄毛、それはもしかしたらAGAかもしれません。AGAは、そのまま放置せずに相談して治療を施すことで大きな改善が見られます。ここでは、AGA治療とその効果について見ていきましょう。
AGAとは?
AGAの発症には個人差があり、発症年齢、進行進度など人それぞれです。日本には、およそ1,200万人以上ものAGA発症者がいるとされています。
AGAの主な原因は、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンの作用によるものとされ、それによって乱れたヘアサイクルが薄毛を進行させてしまいます。このDHTが高濃度の部位には脱毛症状が見られます。健康な毛髪は、2~6年かけて太く長く成長していきますが、AGAを発症していると正常なヘアサイクルが乱れ、毛髪が育ちきる前に抜け落ちてしまいます。
このように、抜け毛の増加と細い弱々しい軟毛の増加によって、薄毛が目立ってくる症状をAGAと呼びます。
そのほか、DHTを生成しやすい体質が遺伝したり、生活習慣による過度なストレスが原因でホルモンバランス、自律神経の乱れを引き起こしたり、偏った食生活、過度な飲酒、喫煙、睡眠不足などが原因として考えられています。
Aの治療法には何があるの?
AGAの原因と治療の研究が進んでいる現代では、AGAは病院で治療するのが主流になってきています。現在クリニックで受けられるAGA治療には、以下のようなものがあります。
- AGA治療薬による治療(最もポピュラー)
- 植毛手術
- HARG(ハーグ)療法(保険適用外)
AGA治療薬による治療が一般的ですが、髪のある部分の毛根を採取し移植する植毛手術や、HARG(ハーグ)療法といった保険適用外の治療法があります。HARG(ハーグ)療法とは、細胞の成長を促すたんぱく質や、頭皮の環境を整えるアミノ酸・ビタミンを配合した注射液で、頭皮に直接栄養を与える治療法です。こちらは保険適用外のため高額になりがちです。
薄毛の症状やその原因によって治療方法が異なるので、医療機関の診断に従って治療を行いましょう。薄毛や抜け毛が気になるようでしたら、その予防策及び治療を視野に入れて相談することをおすすめします。
治療薬によるAGA治療はどのように進めるの?
治療薬を使ったAGA治療は、現在最もポピュラーな治療法です。まず頭皮環境を整え、次に抜け毛を抑制し、最後に発毛を促す、という3段階の流れになります。AGA治療では、プロペシア内服薬やミノキシジル外用薬などを使った専用薬による治療が主流です。
1.頭皮環境を整える
頭皮環境を整えるためには、一般的にはミノキシジルタブレットやリアップX5プラスなどで頭皮の血行を促進させ、滞った血流を改善していきます。
2.抜け毛を抑制する
次に、プロペシア内服薬の主成分(フィナステリド)でDHTの生産を抑制し、抜け毛を予防します。プロペシアのほかには、デュタステリドが主成分のアボルブやザガーロによる投薬によってDHTを抑制、亜鉛を高配合したサプリメント(ジンクエナジー)、毛髪の栄養素(パントテン酸、ケラチン)が配合されたパントガール、アルファトラジオールが主成分のパントスチンなどによって、抜け毛の原因を抑制しながら薄毛を改善していきます。
3.発毛を促す
最後に、血流を促進させて発毛を促すミノキシジルタブレットによる治療をはじめとする投薬治療によって毛髪を再生していきます。
ミノキシジルのほかには、発毛に作用する成長因子を頭皮直接導入する再生療法、AGA治療薬(アボルブ、ザガーロ)、海洋性タンパク質配合のヴィヴィスカル、プロフェッショナルによって内側からサポートします。
外用薬としては、成長因子そのものを高配合した頭皮の美容液や、ミノキシジル配合の発毛剤を使って血流を促進、発毛を促進させていく方法があります。
※投薬などは治療の一例です。実際に診療を受ける医師の指示に従ってください。
AGA治療の際の注意点とは?
AGAの治療は、AGAに対する正しい理解と医師の診断による治療を仰ぐことがとても大切です。また、治療薬を使ったAGA治療は即効性がある治療ではないので、効果がすぐに得られるとも限りません。
1.治療初期にある「初期脱毛」
例えば、ミノキシジルでの治療の場合は、発毛準備による「初期脱毛」といって、治療の初期段階で脱毛症状が見られることがあります。発毛準備とはいえ、脱毛症状がある場合、患者本人は慌てて治療をやめてしまうことも。治療開始から1カ月では効果や見た目の変化が見られないと理解した上で治療を受けましょう。
2.治療には長期間かかる
AGA治療の進み具合、治療反応、治療効果は人それぞれです。効果を実感する前の途中経過、初期の脱毛症状などに慌てることのないよう、医師とのパートナーシップが重要になってきます。AGA治療は、地道な治療であり、長期戦であること、乱れたヘアサイクルを正常に戻すには数か月から1年ほどかかることを知っておきましょう。
3.自己判断による薬の使用は逆効果の可能性も
また、恥ずかしさなどから、病院には行かずに自分で対処しようとまずはセルフケアを施す人も多いですね。しかし、市販の育毛剤を自己判断で使用するなどは、かえって薄毛を悪化させてしまう場合があります。
AGAは、乱れたヘアサイクルを正しいヘアサイクルへと戻さなければ改善しないため、市販の育毛剤をいくら使用しても根本的な治療には至りません。さらに頭皮環境を悪化させて薄毛をひどくさせてしまいます。AGAには、自己判断による薬の使用は避けましょう。
AGA治療で知っておきたいこと
AGA治療で用いる治療薬には、発毛効果が実証されている一方で副作用があることを知っておきましょう。治療薬の服用による体調の変化をしっかりと把握すること、冷静に判断しながら治療を進めることが大切です。
DHT生成を抑制し、抜け毛を予防するプロペシアの副作用として性欲減退、ED(勃起機能不全)、食欲減退、下痢、腹痛、頭痛、乳房障害、抑うつ症状などが挙げられます。
血流促進に効果を得られるミノキシジルは、もともとは血管拡張剤として作られました。ミノキシジルの副作用としては、頭皮の炎症、かゆみ、血圧低下、心拍数の増加、頭痛、めまい、手足のむくみ、体重増加などが挙げられます。
総じて、AGA治療薬は男性のみの服用が可能な薬です。女性は服用できません。もし、女性が服用した場合、重篤な症状を引き起こす可能性があります。また、妊娠中の女性にプロペシアが入ることを防ぐために、プロペシア服用中の献血は禁止されています。同時に、男性であっても20歳未満の服用も認められていません。
「再生医療」でAGAは治る?
AGA治療薬は効果が穏やかで、効果を実感するまでに時間がかかってしまいます。また、薬を使い続けなければならず副作用の心配もあります。
最近はAGA治療においても「再生医療」が期待を集めており、2020年を目処に実用化を目指した研究が行われています。再生医療とは、体の細胞や、組織の元となる細胞(=幹細胞)を取り出し、培養して再び体へ戻すという治療法です。多くは自分の細胞を使うため、適切な管理がされていれば安全性が高い治療法といえます。
再生医療を取り入れたAGA治療は、毛の成長や再生に関わる「毛包」の細胞を取り出し、培養したものを移植します。これにより、髪の毛の再生を促し髪の毛の総量を増やすことが可能になります。これまでの植毛手術では、毛時代生えている場所を移動させるだけで、毛量を増やすことはできませんでした。しかし、今後再生医療によって、全体の毛量を増やすことができれば、画期的な治療法となることでしょう。
まとめ
AGAの治療について、現在最も一般的な専用薬をつかった治療法と副作用や注意点、今後期待される再生医療について紹介しました。治療には時間と費用がかかること、長期的視野で治療に取り組む必要があることを理解して治療を開始しましょう。